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2004.10.12

間取りと夫婦関係

「四つ葉屋根の家」は、SOHO仕事場兼用住宅だ。

当初から×LDKというような一般的な間取りにするつもりはなく、自分のたちの生き方にあった間取りにしたい…と考えて設計が始まった。


家の間取りの話の前に、私たち夫婦の夫婦関係について触れなければならまい。

私たち夫婦は知り合って10年、結婚して7年めになるが、昔から「ほとんどの時間を一緒に過ごす夫婦」だ。

普段家のなかにいるときもたいていは同じ部屋で同じこと、あるいは似たようなことをしていることが多い。

毎日寝る時間も一緒だし、食事ももちろん一緒、風呂も一緒の時間に入る。
休みの日などはご飯の仕度でもふたりで台所に立つことも多い。

休日の外出の際などにもふたり別々に出かけることはまずない。
結婚してから、それぞれの実家にどちらかがひとりで行ったことは一度もない。

どちらか片方の用事の際にも、ふたりで行くのが私たちのやり方だし、私たちを現実社会で知る人たちは、いつも夫婦ふたりで現れるので納得してもらえることだと思う。

いつか夫婦関係についての記事を書くことがあれば取り上げたいと思っているが、善し悪しはともかく、とにかく私たちはそういう夫婦だったりする。


つまり私たち夫婦は家のどこに居ても、お互いにお互いの気配を感じられるようになっているほうが良いし、それが私たちにとって心地よい家の重要な条件だ。


夫婦間のコミュニケーションを重視した間取りとは

・部屋はなるべく少なく
・扉の数もできるだけ少なく
・各部屋の独立性は低く

ということになる…と私たちは考えた。


たとえば書斎などという名前の部屋は不要だし、食事の仕度をするときのコミュニケーションを考えると、食堂と居間が別になっている必要はなく、食堂兼居間兼台所のような空間があればそれで良いと思う。

妻の職場であるSOHO部屋についても、居住エリアと明確に区別するべき…という考え方もあるが、私たちの場合はゆるやかに居住エリアに接している、あるいはゆるやかに居住エリアと一緒になっている…という程度が望ましい。

ただし夫婦の寝室だけは扉で仕切れる空間としたい。


子ども部屋については、子どもが部屋を必要とする期間を、最長で6歳から18歳までの12年間と定義した。
乳児・幼児の頃は専用部屋が必要だとは思えないし、大学は最低でも札幌、できれば北海道を出て首都圏、あるいは海外の学校に行くことを私たちは望んでいる。

従って子ども部屋が必要な期間は子どもひとりあたり12年間程度であろう。
すると独立した子ども部屋が必要かどうかは懐疑的であり、汎用的に使える空間さえ用意しておけば、その時が来たときに考えれば良いと思う。

人数や男女構成によってはSOHO部屋を転用したり、LDKをリフォームしたり、あるいは庭に増築したりすれば良いと思う。そもそも私たちにはまだ子どもがいないのだから。


実は自分たちの家なんだから、自分たち自身で間取りを考えた方がいいはず…と間取りソフト(3Dマイホームデザイナー)を購入し、プランもたくさん練った。
おそらく50案くらいはあったと思う。

夜な夜なA3用紙に自分たちの間取り図を印刷して床に並べ、夫婦で議論を交わした。

……が、どうもピンとこない。
方眼紙に各部屋を並べただけで、問題はないのだろうが、部屋と部屋の関係がイマイチだ。
各部屋の独立性を低く、という項目が特に難しい。
土地の持つ属性(方角・景色・道路)との兼ね合いもピンとこない。

そこで結局はプロの意見を聞こう…ということになり、上記の夫婦関係・家族関係に関する私たちの価値観と、以下の要望を建築家に提出した。

・階数は問わない
・広さも特に指定しない
・必要な部屋は SOHO部屋/広めLDK/夫婦寝室/汎用空間(客間または子ども部屋)
・十勝の季節の移ろいを楽しめる家

詳しくは別項で書きたいが、当然土地条件(112坪・北道路等)と予算についての要望も併せて伝えた。


結果として建築家から提案された間取りは、1階に仕事部屋と夫婦の寝室、客間あるいは子ども部屋として汎用的に使える17畳の3階ロフト、そして2階に最大天井高4mもの吹き抜けを持つ28畳ワンルームの大空間LDKの家だった。

家全体がほとんどワンルームのような造りで、きちんと扉が閉まって個室になるのは夫婦寝室のみ。
扉はトイレ2カ所と風呂、それに夫婦の寝室にしかない。
いわゆる「廊下」という空間はない。

各部屋は上下も含めてコミュニケーションがとりやすく工夫されており、1階のSOHO部屋で仕事をする妻と2階で食事の仕度をする兼業主夫が直接話せるようになっている。3階にいても1階の妻と普通に会話できるだろう。

正直、こんな変わった間取りの家は見たことがない。
しかし決して大きいとはいえない正方形のなかに、私たちの望む仕様・考え方がすべて満たされており、無駄なくうまく収まっている。

私たちはやはりプロの仕事は違う…と感激し、いくつかの修正だけで、結局この案を正式な設計として採用することにし、実物もその通りに建ったのだった。

私たちのためだけに設計され、検討が重ねられた家の住みやすさは抜群だし、自分たちの生き方にあった家になっていると実際に住んでみても実感することができる。

もちろんそういう家を建てて住んでいることに対する大きな満足感もある。


家族の個と個の関係。自分と家族の時間の過ごし方。
家族のありかたと、生き方・暮らし方、自分たちの価値観をよく話し合い、考えてみよう。
そしてそれをしっかり設計者に伝えよう。

そうすると、そろそろ×LDKにとらわれない、その家族ならではの家づくりができるような気がする。

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ハルト

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